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ダブル連結トラックと中継輸送──「1人で2台分」「長距離なのに日帰り」の新しい走り方

どうも、タイガです。今回のお届け物は「日本の運送業の取組み」編。テーマはダブル連結トラック中継輸送です。

新東名を走っていると、たまに全長25mの「異様に長いトラック」とすれ違います。あれがダブル連結トラック。大型トラック2台分の荷物を、たった1人で運んでいます。そしてもうひとつ、泊まりが当たり前だった長距離運行を「日帰り」に変える中継輸送という仕組みも広がってきました。今日はこの2つ、いわば**2024年問題後の「新しい走り方」**の話です。

ダブル連結トラックとは──全長25m、大型2台分

ダブル連結トラックは、大型トラックの後ろにトレーラーをもう1台連結した車両です。2019年1月に特殊車両通行許可の基準が改正されて、車両の長さの上限が21mから25mに緩和され、本格導入が始まりました。

ポイントは積載量ではなくです。同じ量の荷物を運ぶのに、大型トラック2台なら2人。ダブル連結なら1人。国土交通省の試算では、ドライバーの数を約5割削減できるとされています。人が足りない業界にとって、これほど分かりやすい省人化はありません。

とらぼとらぼ
ふっふっふ、データ担当のとらぼだ。特殊車両通行許可を受けたダブル連結トラックは、2019年の14台から2022年には205台へ、3年で約15倍に増えたのだ。2024年問題を境に、導入の勢いはさらに増しているのだ。

走れる道は決まっている──対象路線6,330km

ただし、25mの車両がどこでも走れるわけではありません。走れるのは国が指定した対象路線だけ。当初は新東名の一部区間から始まった路線網は段階的に広がり、2024年9月の拡充で5,140kmから6,330kmになりました。この拡充では、北海道、首都高速、阪神高速が初めて対象に加わり、災害時の迂回路になる上信越道・北陸道・中国道なども追加されています。

ちびトラちびトラ
えっ、高速の上だけじゃなくて、走れる高速そのものが決まってるんですね……。

そうなんです。基本は「拠点間の幹線輸送」に特化した乗り物なんですよ。東京〜大阪のような太い動脈を、深夜に大量の荷物を積んで往復する。細かい配達は普通のトラックに任せる。役割分担がはっきりしているからこそ成立する仕組みです。

運転する側にも条件があります。大型の運転経験がおおむね3年以上、けん引免許の保有1年以上、直近3年間が無事故・無違反。誰でもすぐ乗れる車ではなく、ベテランの仕事です。逆に言えば、経験を積んだドライバーの新しいキャリアの選択肢になっています。

課題は「停める場所」──駐車マスと予約システム

25mの車両で困るのが休憩です。普通の大型マスには収まりません。ここは高速道路会社が整備を進めていて、NEXCO東日本によると、ダブル連結トラック用の駐車マスは2024年度までに187箇所が整備済み、2025年度にはさらに12箇所拡大の予定です。NEXCO中日本は新名神の土山SAなどで、ダブル連結トラック用の予約駐車マスの実証実験も進めてきました。「行った先で停められないかも」という不安を、予約で消す取り組みです。

タイガタイガ
SA・PAの駐車マス不足は普通の大型でも切実だからね。25mならなおさら。「停める場所とセットで広げる」のは正しい順番だと思うよ。

中継輸送──長距離なのに、日帰りできる

もうひとつの主役が中継輸送です。仕組みはシンプルで、長距離運行を途中の中継拠点で区切って、複数のドライバーでリレーします。たとえば東京〜大阪なら、真ん中あたりの拠点でトレーラーを交換したり、ドライバーが乗り替わったりして、それぞれが自分の出発地へ帰る。泊まりだった仕事が、日帰りになるわけです。

その象徴が、新東名の浜松サービスエリア隣接地にできたコネクトエリア浜松。高速道路会社として初の中継物流拠点で、NEXCO中日本が整備しました。駐車バースは4m×20mと大きめで、トレーラーのヘッド交換がしやすい設計。ダブル連結トラック対応のバースもあり、事前予約制で確実に停められます。2025年6月には「東名浜松西」と「静岡」の2拠点が加わって、3拠点の相互利用ができるようになりました。

とらぼとらぼ
えっへん、中継輸送は改善基準告示とも相性がいいのだ。1人あたりの拘束時間が短くなるから、長距離の仕事なのに法令を守りやすくなる。国土交通省も手引きや事例集を出して後押ししているのだ。

家に帰れる長距離。これ、言葉にすると地味ですが、現場感覚では革命に近いです。長距離をやめる理由の上位は、給料でも運転でもなく「家に帰れないこと」ですから。

「走り方」の選択肢が増えるということ

ダブル連結トラックと中継輸送は、組み合わさると真価を発揮します。幹線はダブル連結で一気に運び、中継拠点で区切って各ドライバーは日帰り。1人で2台分を運びながら、誰も車中泊をしない──そんな運行が、すでに現実に動いています。

もちろん課題はあります。対象路線はまだ幹線中心で、帰り荷が確保できないと2台分の空気を運ぶことになる。中継輸送も、相手先とのダイヤ合わせや荷物のマッチングという地道な調整が要ります。それでも、拘束時間の上限がある時代に「体力で走り切る」以外の答えが増えたことは、間違いなく前進です。

タイガのひとこと

長距離といえば車中泊、というのが僕らの世代の常識でした。SAの隅に停めて、運転席の後ろの寝台にもぐりこんで、時間が来たらまた走り出す。あれはあれで嫌いじゃないんですが、続くと体は正直にくたびれていきます。

「長距離なのに、自分の布団で眠れる」。そんな働き方を選べる業界になるなら、若い人に勧める言葉もずいぶん変わります。道具と仕組みは揃ってきました。あとは、それが当たり前になるまで広げる番です。

今日もご安全に。

3人でひとこと

タイガタイガ
25mのすれ違いざまの迫力はすごいよ。あれを任されるのはベテランの証。けん引免許、持っておいて損はないね。
とらぼとらぼ
ふっふっふ、対象路線は6,330km、駐車マスは187箇所。数字で見ると、インフラが着々と育っているのが分かるのだ。
ちびトラちびトラ
「長距離なのに日帰り」って最初は意味が分かりませんでしたけど、リレーだと聞いて納得です!駅伝みたいですね!
タイガタイガ
まさに駅伝だね。タスキの代わりにトレーラーを渡す。1人で走り切る時代から、みんなで運ぶ時代へ、だよ。

出典