壊れた道は、誰が最初に通すのか──「道路啓開」と物流復旧の舞台裏
どうも、タイガです。災害連載の第3弾です。
熊本の地震から数日。余震が続く中でも、止まっていた高速道路が少しずつ開き始めています。今回はその裏側の話──壊れた道を、誰が、どういう順番で通しているのか。俺たちドライバーが毎日走る道路の、災害時の復旧の仕組みです。
「復旧」の前に「啓開」がある
いきなりですが、「道路啓開(どうろけいかい)」という言葉、聞いたことありますか?
そう、啓開。がれきをどかし、段差を埋めて、とりあえず緊急車両が通れる最低限の道を切り開く作業のことだ。きれいに直す「復旧」はその後。まず通す、直すのは後。この順番が、災害時の鉄則なんです。
そしてこの啓開作業を担うのは、自衛隊だけじゃありません。地元の建設会社が重機を持ち出して、夜通しがれきを撤去する。俺たちの荷物が数日で走れるようになるのは、この人たちのおかげです。
伝説の「くしの歯作戦」
道路啓開の代名詞といえば、東日本大震災の**「くしの歯作戦」**です。
あれだけの被害で、翌日に11ルート。この作戦があったから、救援も物資も沿岸の街に届いた。そして重要なのは、この作戦が事前に計画されていたこと。どの道をくしの背にして、どの順番で歯を通すか、平時から決めてあったんです。備えは、道路にもあるんですよ。
令和8年熊本地震──今、道はどうなっているか
今回の熊本でも、同じことが起きています。
発災直後、九州道をはじめ高速道路は100km以上が通行止めになりました。橋の損傷も確認されています。それでも発災2日後には、九州道の益城熊本空港IC〜松橋IC間などの通行止めが解除。一方で八代方面など、まだ止まっている区間もあり、NEXCOなどは熊本〜宮崎・鹿児島方面について広域迂回を呼びかけています(状況は日々変わるので、走る前に必ず最新の公式情報を確認してください)。
ドライバーに知っておいてほしいのが、国土交通省が公開している**「通れるマップ」**です。災害のたびに、どの道が通れてどの道が通れないかを地図で公開してくれる。九州方面を走る仲間は、ブックマーク推奨です。
そして解除された区間も、本復旧はこれから。車線規制をしながらの応急補修が続きます。緊急車両や支援物資のトラックを優先するため、不要不急の利用は控えてほしいという呼びかけも出ています。「通れる=元通り」じゃないことは、覚えておきたいところです。
道が開けば、物流が戻る
道路啓開が進むと、物流は段階的に戻っていきます。まず緊急物資輸送。次に、集配停止していた宅配便がエリアを狭めながら再開。そして通常の企業物流が戻って、コンビニやスーパーの棚が埋まっていく。
逆に言うと、棚に商品が並ぶことは、道路が直った証拠なんです。被災地のコンビニに当たり前におにぎりが並ぶ──その裏には、道を開けた建設業の人たちと、そこを走ったドライバーがいる。連載の第1弾で「避難所の段ボールは勝手に現れたわけじゃない」と書きましたが、その前にまず、道も勝手に開いたわけじゃないんです。
タイガのひとこと
俺たちドライバーは「道があること」を前提に仕事をしています。でも災害のたびに思い知る。道は、誰かが開けて、誰かが直して、初めてそこにある。
重機に乗って夜通しがれきをどかしてくれる建設業の仲間に、同じ「現場で働く者」として、心から敬意を。あんたたちが開けた道を、俺たちが走ります。
今日もご安全に。


