熊本の地震を受けて──運送会社にできること、ドライバー個人にできること
どうも、タイガです。
前回の記事では、東日本大震災から能登半島地震まで、災害のたびにトラック業界がどう動いてきたかを振り返りました。今回はその続き。今、熊本の地震を受けて、俺たちに何ができるのかを、会社の立場と個人の立場に分けて整理します。
最初に一番大事なことを言わせてください。被災地域のドライバー仲間は、まず自分と家族の安全が最優先です。トラックも仕事も、命があってこそです。
運送会社にできること
1. トラック協会経由の緊急輸送に協力する
災害時の支援物資輸送は、国・自治体からの要請が都道府県のトラック協会を通じて会員事業者に流れる仕組みになっています。窓口はトラック協会。「うちのトラックと人員を出せる」という会社は、所属する協会の要請情報に注意して、協力の意思を伝えておくのが一番の近道です。
2. 平時の備え──緊急通行車両の事前届出
震度7クラスの災害では、高速道路などに交通規制がかかり、緊急通行車両しか通れない区間が出ます。この「緊急通行車両」には事前届出の制度があって、届け出ておくと災害時の確認手続きがスムーズになる。今回間に合わなかった会社も、次への備えとして必ずやっておきたいところです。
3. 無理な運行をさせない
被災地周辺は道路状況が刻々と変わります。会社として一番やってはいけないのは、通常どおりの納期をドライバーに背負わせること。運行管理者は道路情報を集めて、迂回・延着・運行中止の判断を会社の責任でしてほしい。ドライバー個人に「行けるか行けないか」を丸投げしないことです。
ドライバー個人にできること
1. 正確な道路情報で走る
通行止めと規制情報は、日本道路交通情報センターやNEXCOの公式情報で確認する。SNSの「あの道が通れるらしい」は、善意でも古かったり間違っていたりします。被災地の道路情報は鮮度が命です。
2. 燃料は早めに、多めに
災害時は製油所や給油所も被災して、燃料供給が細ることがあります。九州方面を走る仲間は、燃料計が半分になったら給油するくらいの気持ちでいたほうがいい。これは東日本大震災のときに、燃料切れで支援どころじゃなくなった車両が続出した教訓です。
3. 個人判断で被災地に物資を運び込まない
ここ、勇気を持って言います。「トラックがあるんだから、物資を積んで直接届けたい」──その気持ちは痛いほど分かる。でも、個人判断で被災地に乗り込むのはやめたほうがいい。
善意だからこそ、なんだ。調整なしの車両が集まると、緊急車両の通行を妨げる渋滞が起きる。仕分けできない物資が集積所に山積みになる。これは東日本大震災で実際に起きたことなんだ。プロの支援は「要請を受けて、決められたルートで、決められた場所へ」が鉄則。力を貸したいなら、トラック協会や自治体の募集を通じて、仕組みの中で動く。それが一番被災地のためになる。
4. 今すぐできる支援もある
輸送で関われなくても、できることはあります。
ふるさと納税の災害支援寄付。 ふるさと納税のポータルサイトには災害支援の窓口があって、返礼品なしで寄付金がそのまま被災自治体に届きます。被災していない自治体が事務作業を肩代わりする「代理寄付」の仕組みもあって、被災地の役場に負担をかけずに支援できるのがいいところです。
Amazonの「ほしい物リスト」。 災害時には、自治体や避難所が「今必要な物資」をほしい物リストとして公開することがあります。ここから送れば、必要なものが、必要な数だけ、物流のプロの手で届く。個人がトラックで運び込むのとは真逆の、まさに「善意を仕組みに乗せる」支援です。ただし、必ず自治体などの公式発信のリストか確認してから使ってください。
そして、送らない・催促しないという支援。 被災地宛ての不急の荷物を今は送らないこと(物流網の負担を減らせます)。配達が遅れている荷物に「まだですか」と催促しないこと。今、被災地域では集配停止や遅延が起きています。荷物が遅れているのは、誰かがサボっているからじゃない。道が壊れているからです。
タイガのひとこと
災害のとき、トラックドライバーは「特別なヒーロー」になる必要はないと思っています。要請があれば仕組みの中で全力を出す。要請がなければ、いつもの荷物をいつもどおり安全に届けて、日本の物流を止めない。それ自体が立派な災害対応です。
熊本の仲間、九州を走る仲間。どうか気をつけて。
今日もご安全に。


